尊敬語と謙譲語の違い・使い分け

敬語を選ぶときは、まず「誰が何をするか」を確かめます。相手や話題の人物の動作を高めるのが尊敬語、自分側の動作を相手に向けてへりくだって述べるのが謙譲語です。「丁寧な動詞を選ぶ」だけでは、敬意の向きが逆になることがあります。

よく使う動詞の早見表

普通の言葉相手の動作:尊敬語自分側の動作:謙譲語など
見るご覧になる拝見する
言うおっしゃる申し上げる/申す
行く・来るいらっしゃる伺う/参る
聞くお聞きになる伺う/拝聴する
食べる召し上がるいただく

「伺う」は訪問先や質問する相手を立てる語です。「参る」「申す」は自分側の行為を丁重に述べる謙譲語Ⅱ(丁重語)で、「伺う」「申し上げる」と常に交換できるわけではありません。

動作主が違う3つの例

部長が資料を見る

部長は、こちらの資料をご覧になりましたか。

見るのは部長です。「拝見しましたか」では、相手の行為をへりくだらせてしまいます。

自分が取引先の資料を見る

お送りいただいた資料を拝見しました。

自分が見るため「拝見」を使います。「拝見させていただきました」と長くする必要はありません。

取引先に自社の部長の予定を伝える

明日は、部長の田中がそちらに伺います。

社外の相手には自社の上司も自分側として扱います。「田中部長がいらっしゃいます」とはしません。社内で部長に直接話す場合とは関係が異なります。

二重敬語を避ける手順

「おっしゃる」にさらに「れる」を付けた「おっしゃられる」は「おっしゃる」に、「ご覧になられる」は「ご覧になる」に直します。一方、「お読みになる」のように決まった形として動詞を尊敬語にするものを、機械的に短くする必要はありません。

よくある質問

尊敬語と謙譲語を一文で使えますか?

使えます。「部長がいらっしゃる前に、私が資料をお送りします」のように、それぞれの動作主に合わせます。文全体をどちらか一種類に統一する必要はありません。

「了解しました」は必ず失礼ですか?

語だけで失礼と決まるわけではありません。ただし上司や取引先への承諾には「承知しました」が使いやすく、かしこまったメールなら「承知いたしました」も選べます。